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AI前提の開発AI開発ローコード開発手法

ローコードとAI前提の開発は何が違うのか|開発手順の縮め方と、向いているシステム

公開日 更新日 読了目安 5分執筆 湯本 堅隆(株式会社クオリティスタート)

ローコードのツールと、AIにコードを書かせる開発のどちらで作るべきか迷っている方に向けた記事です。結論から言うと、どちらも開発の手間を減らしますが、減らし方が違います。ローコードは手順そのものを減らし、AI前提の開発は手順を残したまま、コードを書く部分をAIで速くします。この記事では、その違いと、それぞれに向いているシステムを説明します。

ふつうの開発には、どんな手順があるのか

Webシステムの開発の手順を大きくまとめると、次の6つです。

  1. 画面を設計する
  2. データを保存するデータベースを設計する
  3. 画面を開発する
  4. 画面の操作に応じて呼び出す機能を実装する
  5. 呼び出した機能に、データを操作するロジックを実装する
  6. 正しく動くかをテストする

画面を設計しないと、入力して保存するデータの形が決まらないので、画面から設計することが多くなります。

ローコードは、手順をどう縮めるのか

設計と開発を一つにまとめて、手順そのものを減らします。ローコードの手順は、次の2つです。

  1. 画面を設計する(プレゼン資料でパーツを切り貼りするような感覚で)
  2. 作ったアプリが正しく動くかを確かめる

入力した値をそのまま保存するだけなら、必要な機能は「入力値を保存する」だけです。画面を設計すれば、ツールが保存の仕組みとデータベースを自動で作るので、プログラムを書く必要がなくなります。

その代わり、2つの制約があります。

  • 保存する以外の処理には、追加の開発が要る:集計や、条件で値を変える処理が増えるほど、ローコードの良さが薄れます
  • 画面を細かく作り込めない:作り込もうとすると、結局ふつうの開発と変わらなくなります

AI前提の開発は、手順をどう縮めるのか

手順は6つのまま残し、コードを書く部分をAIに任せて速くします。人は、何を作るかを決めることと、品質を判断することに時間を使います。当社の開発では、コードの約99%をAIが書いています。

手順を残すので、画面の作り込みにも、複雑な処理にも、ツールによる制約はありません。プログラムも自社の手元に残ります。その代わり、AIが毎回同じ基準で書けるように、規約・制約・テスト方針を先に文書にしておく必要があります。この準備が無いと、書く速さは上がっても、確かめる手間が増えて全体は速くなりません。準備の中身は「開発チームにAIを入れる手順」で説明しています。

どちらを選べばよいのか

作るシステムの用途で選びます。

比べる観点 ローコード AI前提の開発
手順の縮め方 設計と開発を一つにまとめる 手順は残し、コードを書く部分をAIで速くする
画面の作り込み ツールが用意した範囲まで ツールによる制約はない
複雑な処理 増えるほど追加の開発が要る ツールによる制約はない
プログラムの持ち主 ツールの中にあり、取り出せないことが多い 自社の手元に残る
必要な人 業務を知っていて、ツールを設定できる人 AIが書いたコードの品質を判断できる人
向いているシステム 社内の定型的な業務、申請、台帳 顧客が使うサービス、基幹の業務、長く育てるシステム

ローコードが向いているのは、どんな場合か

社内で使うシステムで、次の条件に当てはまる場合です。

  • 売上を上げることより、業務の効率化を目的にしている
  • Webのシステムは要るが、実装する技術も人も足りない
  • 項目や集計を、自分たちで設定して変えられる余地を残したい
  • 初期の費用を抑えたい

不特定多数の利用者が使うサービスでは、使い勝手がそのまま競争力になります。ツールが用意した画面の範囲に縛られるローコードは、この用途には向きません。

また、ローコードで作ったシステムは、ほかのサービスに移すのが簡単ではありません。プログラムを取り出せないことが多いので、ツールの提供が終われば、システムも使えなくなります。選ぶときは、提供元の体制と利用の広がりも確かめます。

どちらでも、作ったシステムを活かせるかは別の問題か

別の問題です。作ることと、活かすことの違いは大きいものです。

Excelの台帳をそのままWebのシステムに置き換えたものの、業務の手順は何も変わらず、社内に広がらないまま使われなくなる。ローコードでも、AI前提の開発でも起きることです。

作るのが速くなるほど、何を作るかを決める重みは増します。業務を一段上から見直し、どの作業をシステムで無くすのかを決めてから作ると、システムが業務を変えるてこになります。業務の見直しの仕方は「現状分析では何を調べればよいか」で説明しています。

実際の案件では

当社は以前、ローコードを使った業務システムの構築も手がけていました。ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ様の研修では、演習の題材として、ローコードの仕組みでタレントマネジメントシステムを構築しています。コードの中身を追うのではなく、コードが動くために何を設計して入力しなければならないか、主にデータモデルの設計と画面の遷移を中心に支援しました。

今の当社の開発は、AI前提です。LINEで完結する取引先向けアプリ(FAJ様)は、当社3名で2025年3月に着手し、約3か月後の5月にリリースしました。どちらの進め方でも、データモデルと画面の遷移を先に決めることが、速く作るための土台になっている点は変わりません。

まとめ

  • ローコードは手順そのものを減らし、AI前提の開発は手順を残してコードを書く部分を速くする
  • 社内の定型的な業務にはローコード、顧客が使うサービスや長く育てるシステムにはAI前提の開発が向いている
  • どちらでも、何を作るかを先に決めることが、作ったシステムを活かす条件になる

AI前提の開発の進め方全体は、「開発チームにAIを入れる手順」にまとめています。

よくある質問

ローコードで作ったシステムを、あとからAI前提の開発で作り直せますか?

できます。ただし、ローコードのツールからはプログラムを取り出せないことが多いので、画面・データ・機能を調べ直して作り直すことになります。今の動きを文書にしてから進めると、作り直しの漏れを防げます。

AI前提の開発なら、プログラミングの知識が無くても作れますか?

試作はできますが、業務で使い続けるシステムには向きません。AIが書いたコードの品質を判断し、規約やテストを整える人が必要だからです。

ローコードとAI前提の開発は、組み合わせられますか?

できます。社内の定型的な申請や台帳はローコードで作り、顧客が使うサービスや基幹の業務はAI前提の開発で作る、と用途で分けるのが現実的です。

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