他にない、上質なITを

Column

売上を産まない業務システム導入に、二の足を踏んでいる経営者の方へ


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「日々の業務に対してシステムを使って改善できるようになれば便利になるだろうし、効率がよくなるのもわかる。だけど、効率が良くなった所で利便性はお金で判断できないので、不便でも便利でもアウトプットが変わらないのであれば、業務システムに投資をする理由が見つけられない。」

私がユーザー企業にいた時にお付き合いのあった社長さんの発言です。非常に良くわかります、と喉元まで出かけました。

ネットショップの構築(もしくはレンタル)やコーポレートサイトの構築等などは、売上の拡大や顧客の獲得というわかりやすい目的があります。「業務システム」になると、途端に導入するメリットが見えなくなる経営者の方は多くおられます。10万単位から100万単位に値が上がる上に導入メリットがわかりにくいという、なんとも不透明な存在に業務システムが映っている側面も無視できません。

業務システムを導入する意味が見えなくなった経営者の方に、当方がご案内している内容は以下の通りです。

ITで会社を経営する、の意味する所

IT経営とは、企業がITを戦略的に使いこなしてサービスレベルを向上することで、業績UP(or コストダウン)に寄与している経営の仕組みがあること、を指します。

ITの非専門家である経営者にとって、ビジネスとITをどの様に融合させ自社のビジネスに適用させればよいのかは不透明なものです。国もその問題意識を持っており、経済産業省はIT経営について | 経済産業省 IT経営ポータルというWebサイトで、中堅・中小企業の経営者に対してIT活用の具体的な行動指針についてまとめたガイドラインがあり、資料も公開されています。

その中で 「IT経営ロードマップ」(PDF)という資料に書かれている、企業がIT経営の習熟度を上げていくためのステージについて簡単にまとめた表があります。

個人ユースから部門へ、部門から会社へ、会社からお取引先へとITで構築したビジネスモデルが展開していくさまを表現しています。培ったノウハウと仕組みは、模倣するのが困難です。同じWebサービスやソフトウェアを作ることは簡単なことですが、その中で流れている商流を模倣するのは非常に困難です。ITを使うことで他社が模倣困難な顧客サービスを提供することが、IT経営の目指すべき姿です。

業務システム=仕事を測定できる仕組み

業務システムを導入する意味は、「御社のビジネスプロセスのどこに問題があるのかを数値化出来るメーターを取り付けること」だと考えていますサラッと書きましたが、この意味は非常に大きいです。仕事を測定できる仕組みがなければ、何を改善していいかの根拠が無いので間違えてしまいます。そのダメージが大きい場合、倒産に繋がります。

企業において「目標と現実とのギャップ」は日々起こります。前月比に対して売上が上がったのであれば、何がどう上がったのか、ここから10%上乗せするためにはどの商品をどの顧客にどれだけ追加で売ればよいのか。そういった判断を下すために必要になるのが、数値化です。数値化する大きなメリットの一つは、「目標達成までに何をすべきか」という具体的なアクションが見えることです。

数値化した場合、そこには恣意的な要素が入りません。誰が見ても数字は数字で、絶対的なものです。人の意見やアイデアを「良い悪い」「好き嫌い」などの主観では判断してはいけません。「これなら結果が出る」と数字で示せるかどうかだけで、判断しないと「きっとこうなるだろう」という泥舟をつかんでしまいます。数値に落とすことで思考がフラットになり、最良の解決策を選択できる素材が揃います。

どこに営業マンのリソースを割くべきかを考える時に「もっと多くの顧客に声をかけろ」というのは根性論です。営業マンも成果が出るか出ないかわからないことをやれと言われても、何が問題でどこをテコ入れしてよいのかの根拠がなければ、徒手空拳で戦うことになります。

  1. カタログを送った顧客のある日付から現時点までの受注状況を確認したい
  2. チェーン店を対象に、あるカテゴリの商材の注文があるか否かを知りたい
  3. 前後3ヶ月を含めた、顧客の注文状況を確認したい

こういったデータを収集できる環境に御社があるのかどうか、という点が重要です。メーターがない状態で車を運転することの危険性は言わずもがなですが、企業経営ではそれに近いことが起こりえます。目に見えない日々の業務活動を可視化するためのメーターを、業務システムの中に組み込んで頂きたいと考えています。全員が同じ数字を共有できているから、部門や会社の壁を超えることが出来ます。

業務システムは人に依存せずにサービスの品質向上が出来る

業務システムを導入するもう1つのメリットは、自社の強みを活かした仕事の進め方をITシステムにのせることで、「当たり前の品質」を上げることが出来ることです。

お客様からの注文FAXを入力して受注登録をする、在庫の問い合わせに応える、欠品した商品の入荷案内を促す、大口顧客のローカルルールに対応する、決められた期日に商品を出荷する。こういった内容は全て「当たり前の価値」です。そういった内容を人に依存してしまうと、「公認の育成ができない」「その人が抜けたら回らない」「人によって品質がバラける」という自体になります。

当たり前のサービスを生み出すのに、個人の独自のやり方は必要ありません。誰がやっても同じ品質になるように、ITシステムを使えばよいわけです。当たり前の品質を上げることはサービスレベルの向上に繋がります。

かといって、その人でしか生み出せない価値も活かすべきです。毀損する理由はありません。付加価値はどうしても個人プレイから始まります。同じお客様を担当しても、経験豊富で付加価値を生み出せる方の視点と入社して間もない方では、当然提案内容も仕事の進め方に違いがあります。

そこで、業務システムを使います。付加価値を生み出している源泉はどこにあるのかを見出し、完全とは行かなくても、付加価値を生み出すために必要な情報と判断を、業務システム内に取り込んで行くのです。業務システムを活かして強いサービスを提供している会社様は、こういったフィードバックを取り込んで「当たり前の品質」を上げていくサイクルを構築されていらっしゃいます。

商品はサービス内容を真似ることは出来ます。ですが、そのサービスを生み出すプロセスを真似ることは極めて困難です。ましてやそれが独自のITシステムによってもたらされている場合、他社が真似したくても出来るものではありません。

会社を変えたいならオペレーションを変えなければならない

会社を変えたいのはなぜか。その理由の根源にあるのは、簡単に言えば企業が存続するためです。ビジネス環境は時代が変われば勝手に変わってしまいますので、会社の存続させるために、事業を変革して成長させていくことが必要になります。ずっと同じことをやっていれば良いなんてことはありえません。

事業を変革するということはサービスの内容/やり方を変えることを意味します。それらの変更は最終的に、「で、どうやってやればいいの」というオペレーション設計に落ち着きます。会社を変革するためのビジョンや構想が作れたとしても、現場の作業に反映されなければ絵に描いた餅で終わってしまいます。そして、その作業は個人の自助努力ではなくシステマチックに行う必要があります。

その助けとなるのが、業務システムです。業務システムがあることで、ビジネスモデルの変革に追従する足回りを手にすることになります。ハンドルを右に曲がるべきという経営者の判断に対し、右にハンドルを切っても曲がらない(=現場がついてこれない)のが、最もフラストレーションがたまります。それを無くすために、先進的なIT経営を行っている会社は、ITシステムに投資を行っています。

業務システムのデザインや企画をする際は、上記のような視点を合わせてご検討頂ければ幸いです。


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執筆者について

著者

(株) クオリティスタート 代表取締役

湯本堅隆(YUMOTO Michitaka)

略歴

1979年生まれ。ISPの電話サポートのアルバイトをきっかけにIT技術に興味を持ち、2003年にアイ・ティ・フロンティア(現タタ・コンサルタンシー・サービシズ)に新卒で入社。

SIer在籍期間からブログ「GoTheDistance」でSIerを巡るIT業界のあり方・エンジニアのキャリアについて記事を書き、累計はてなブックマーク数40,000を超えるブログになりました。

「ITを使いこなしたいなら、ユーザー企業は内製すべき」と主張しているうちに、2009年から雑貨卸の有限会社 エフ・ケーコーポレーションで内製化を1人で担当するはめに。メーカー送料ロットのない雑貨卸というビジネスモデルをITシステムを実装することで確立し、経済産業省が主催するIT経営実践認定企業に選ばれました。

「システムを作る人材や会社」はあっても「何が正しいITシステムなのか」を事業会社の立場で考え、デザインできる人材が枯渇している。

この課題を解決したいという思いから、会社を創業しました。

重度の野球好きで、東京ヤクルトスワローズのファンです。


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