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大規模な雑貨チェーン店が続々と倒産している中で


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商品の低価格化や、100円均一ショップ(ダイソー、Seria、スリーコインズ等)の台頭などで、幾つもの店舗を持っていた雑貨チェーンが軒並み倒産しています。パスポート、プラスハート、ママイクコと言った非常に有名な雑貨屋さん等が、相次いで倒産しました。

ビレバンこと、ビレッジ・バンガードも業績は良くないと東洋経済ONLINEの記事にありました。雑貨屋ブルドックも、かなり厳しいようです。

  1. 雑貨小売の「プラスハート」が民事再生法申請、負債38億円 国内倒産 – 不景気.com
  2. 健康コーポ、パスポートを子会社化 株式65%取得、雑貨事業を強化
  3. 雑貨店「ママイクコ」の運営会社、民事再生法の適用申請
  4. 雑貨屋ブルドッグが大半となる50店舗を閉鎖、人員削減も
  5. ヴィレッジヴァンガード、大赤字脱却なるか | 専門店・ブランド・消費財 | 東洋経済オンライン

100円ショップの台頭で時代が変わった

こういったバラエティ雑貨のお店が苦しくなった最大の要因は、100円ショップの台頭にあるのではないでしょうか。100円(300円)ショップの台頭により、定価にして1000〜2000円台の商品と、ワンコインの雑貨に大きな差があるようには見えなくなってしまいました。 仮に壊れてたとしても、もう1個買えばいいだけ。私のような雑貨の目利き・こだわりがない人間からすれば、スリーコインズとAmazonで充分ではあります…

傘の販売で有名なウオーターフロント(Water Front)は、2000円前後していた雨傘や折りたたみ傘を500円で販売することで一気にブレイクしました。恨み節ではないですが、ウォーターフロントさんの台頭で傘の卸売を辞めた会社も知っています。雑貨におけるウォーターフロントの立ち位置が、ダイソーやSeriaであるということです。

アベノミクスによる円安や増税の影響も大きいでしょう。輸入雑貨を製造・販売するメーカーに取って、円安は原価向上に直結します。その際を吸収するために、円安や増税の影響を受けてメーカーが上代(一般小売価格)を上げてくる。商品の品質はそのまま(むしろ代わり映えしないので下がっている)で、値段だけが上がります。

ルームウェアのような人手を必要とする商材は、まさにこれでした。フリースのパジャマ、電池が切れたように一気に売れなくなりました。中国で安く作って日本で大量に売るというモデルが、中国経済の成長によって困難になっていると聞きます。昨今では、環境問題の取り締まり強化で操業停止になっている工場もあるそうです。

雑貨のメーカーも独自性を出して勝負したがらない傾向に当然あって、どこかの商品がヒットすると似たような商品を作っていくという傾向があるように感じます。ギフトショーの会場をうろつくと、失礼ながらそう感じます。

メルカリのようなフリマアプリの台頭により、リユース市場が台頭しているのも大きいかもしれません。新品ではなくても中古でよいじゃないかと。しかも、個人間売買なら非常に安値で商品が手に入ります。

雑貨チェーンのみならず百貨店も苦戦しているのも、同様の背景がありそうです。

雑貨販売は薄利多売の商売

一般的な日用雑貨・生活雑貨のお話です。

1000円で雑貨店が販売している商品がある場合、自社製品などではなく他社の商品を買って仕入れたとすると、一般的には定価の60%で仕入れます。粗利が40%です。これを高いと見るとか低いと見るかですが、私は低いと考えます。

原価率60%は、かなり高い部類に入ります。原価が60%ですと、仕入れた全商品の6割が販売できてチャラです。 そこから人件費や家賃等の固定費を入れて考えると、かなり厳しいと感じます。ショッピングモール等のテナント料となればかなりの金額。前述した雑貨店さんも、かなりのお店がモールに出店していました。これが経営を圧迫した要因の1つでしょう。

雑貨店はショールーム化に進むのだろうか

オリジナルのTシャツ販売のように、商品の在庫を抱えないで受注生産できる業態なら、店を出すのはショールームとして出すだけで充分という考え方です。スパイスライフさんのブログに詳しく実例が載っています。

小売業界を激変させる、今アメリカで急成長しているEC発ショールームストアとは?

商品を仕入れて並べる必要がないので、棚卸や伝票処理の業務が一切なくなります。受注生産型なら在庫を抱える必要もありません。委託販売なら同じようなやり方が適用できそうです。ショールームなので、お金の管理も一切しません。ネットで買って下さい、で終わり。タグにQRコードをつけて、ECの販売ページにジャンプするぐらいで充分でしょう。

メインはネットで売る事を考えれば、ずっと同じショッピングモールやセンターでテナントを出し続けるのも合理的ではない気がします。催事で全国を回るほうがよさそうです。ショールーム的なスペースを短期間借りることができるサービスもありますので、ローテーションを回すというやり方もできるでしょう。固定費は少ないにこしたことはありません。

この業態と最も相性が良いのは小売店ではなく製造メーカーです。ショールームづくりも展示会運営で培ったノウハウがあるわけですし、メーカーがECをやるのは当然のこと。雑貨店が幕の内弁当なら、メーカーは専門店。専門店の強みを活かせるのが「EC発ショールームストア」になるでしょう。

雑貨店は何を売ればよいのか

「雑貨 売れない」「雑貨 販促」等で色々Google検索をしてみたのですが「売れないのは何かが間違っているはずだから、頑張ろう」というお話が多かったです。ま、それがわかれば苦労はしないですよね…

モールに出しても売れるかわからないし、立地が良くても店を出てAmazon検索して高ければ買わない、ハンドメイドの商品のほうがコンセプトが明確で安いからそっちのっほうがいい。そんな脅威に晒されながらビジネスを行わなければならないので、何度も言いますが本当に難しい時代になったと思います。

1つ思うのは、雑貨ではなく雑貨の空間を売る方向にシフトすることです。ネットでは世界観を伝えるのに限界があります。商品を手にとって触れることができる、複数の商品を見比べることができる、目利きのある人のアドバイスを受けられる(商品を仕入れた背景や思いを聞くことができる)等の利点を活かすとなれば、要は雑貨でお部屋や空間のUXを向上させる事につながればよいのでは、と感じました。思いつきですけど。

当社は雑貨のメーカー様にお使い頂いている「Handy」というサービス並びに販売管理システムを導入して頂いているので、雑貨業界の行く末にとても興味があります。色々なお付き合いをさせて頂いているので、公開できる範囲で「こういう取り組みやってるよ」という記事を書きたいと思います。


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最後までお読みいただきありがとうございました。
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執筆者について

著者

(株) クオリティスタート 代表取締役

湯本堅隆(YUMOTO Michitaka)

略歴

1979年生まれ。ISPの電話サポートのアルバイトをきっかけにIT技術に興味を持ち、2003年にアイ・ティ・フロンティア(現タタ・コンサルタンシー・サービシズ)に新卒で入社。

SIer在籍期間からブログ「GoTheDistance」でSIerを巡るIT業界のあり方・エンジニアのキャリアについて記事を書き、累計はてなブックマーク数40,000を超えるブログになりました。

「ITを使いこなしたいなら、ユーザー企業は内製すべき」と主張しているうちに、2009年から雑貨卸の有限会社 エフ・ケーコーポレーションで内製化を1人で担当するはめに。メーカー送料ロットのない雑貨卸というビジネスモデルをITシステムを実装することで確立し、経済産業省が主催するIT経営実践認定企業に選ばれました。

「システムを作る人材や会社」はあっても「何が正しいITシステムなのか」を事業会社の立場で考え、デザインできる人材が枯渇している。

この課題を解決したいという思いから、会社を創業しました。

重度の野球好きで、東京ヤクルトスワローズのファンです。


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