私も経験がありますが、フリーランスは薦められるものではありません。勝手になっているものです。正確にはなろうと思ってなるんじゃなくて、結果的にそれしか選択できなかった人がフリーランスになっているように思い、そういう人ほど長く続いています。

この2〜3年ぐらいでしょうか。フリーランスエンジニアというのが持て囃され、案件を紹介するエージェントも色々増えました。有象無象ですけど。

フリーランスの本質は「傭兵」が最も近い

何を勘違いしているのか知りませんが、フリーランスは傭兵と同じなので、誰もあなたを助けてくれません。

私は野球が好きなので、傭兵以外の例えで言えば、フリーランスの立ち位置は「助っ人外国人」と同じです。補強したいポジションとロールにフィットする人を外から連れてきて、戦力じゃないと判断されたら1年でリリースされます。フリーランスは、そういう存在です。

現場に入っても、誰もあなたのために動いてはくれません。基本的に。あなたの面倒を見るために契約するわけじゃなくて、目の前の紛争(案件)をなんとかするために、金で雇われただけの存在に過ぎません。教育なんかしてもらえません、金払って教育コストを割いてくれるクライアント、どこにいます?

そうは言っても、オンボーディング体制が壊滅的で、開発環境のセットアップだけ助けるからあとはお前がなんとかしろで使い捨てるように使うクライアントも困るけど。こういうのは体質なので、どうにもなりません。逃げるは恥だが役に立つ。

2年程度の実務経験しかないと、戦場での立ち振舞を学ぶ前に退場しちゃうんじゃないかな。

案件(プロジェクト)というのは、残念ながら何かしら紛争が起こっています。問題が山積しているのが常です。誰かの書き散らかしたコードが地雷原になっています。謎の要件が突然、降りてきます。メンバーが突然変わって、あなたのロールも変えられます。

スタートアップさんに顕著ですが、代表とのテンションが合わないと即終わったり、資金調達次第ですぐ終わったりします。1年以上続くケースは極めて少ない気がします、スタートアップの場合。バーン・アウトするから。

案件ガチャって言葉も好きじゃないです。あなたにフィットするスイートな案件なんてありません。自分のスキルセットで余裕でこなせて、お客さんも何も言わずに報告だけすればいいなんて、そんな案件ないんですよ、あったら教えてよ(笑)

どの案件でもそうですけど、あなたのロールは時間の経過とともに変わります。だって、何かを終わらせるために傭兵家業をするんですから、終わったら別の何かを片付けるために、時には自分から提案して進めていかないと、次の仕事は降ってこないです。

組織のケイパビリティを左右する経験

この種の経験は、フリーランスだと極めて得にくいです。立場上の問題で。

フリーランスを揶揄して「ワーカーとしての経験しかない」っていう愚痴は結構ネットで耳にします。組織のケイパビリティを左右するような意思決定を下してリードしたことがないのに、どうやって組織の中でバリューを出せるの? 社員で取るなら、そこが一番必要なんだけど? っていう。ステークホルダーという地雷原を歩いてどう捌くか、そういう明文化しにくい過程も入っている。

社員と外注ではタッチできる情報や会議体に差がある。発注して頂いている組織の抱えている課題を共有できるような環境に、なかなか外様だと立場だとタッチさせてもらえない。求められていないことも多いしね。

そうはいっても、社員100%で構成されている現場って、絶滅しているように思います。社員が採れないし、採っても辞める。外注は契約がある限り辞めないので、プロパーがマネジメントして云々という話も昔からあるけど、実務(端的にはプログラミング)ができない人が、どうやって開発案件の舵取りがまともにできるのっていう話も多くて。

・・・ま、そんな感じで、多かれ少なかれ、紛争が起きてる。どの会社でも、どのプロジェクトでも。

フリーランスで生きていくには、色んな戦略を積み重ねていかないと、5年持たないと思いますよ。