不透明になる最大の理由は、機械化されていない仕事なので職人的なワークスタイルのため流れ作業にするのは難しく、かつ、オーダーメイドの仕事が多くなるからです。
ホームページの制作ひとつを取っても、お客様の要望と予算を伺った上で、それにあったホームページの構造と仕組みを毎回毎回考えなくてはいけません。似たようなものはありますが、全く同じにはできません。
業務系のシステム(顧客管理、販売管理、在庫管理、見積管理など)になると、更に踏み込む必要があります。要望と予算を伺うだけでは、作業に移せない。同じ業種でも仕事の進め方や課題と感じている箇所が違うので、業務分析を行って「こういう機能を持ったシステムでよろしいですか?」というやり取りを繰り返します。このやり取りをすっ飛ばすと、トラブルの原因になってしまうからです。
ネットやシステムの仕事に対して「パパっと出来る効率の良い仕事」というイメージを持つ人は多くいらっしゃいます。傍目にはキーボードをカタカタ叩いているだけにしか見えませんし、サラっと仕事してすぐ終わりそうな印象を持たれるのかもしれません。
しかし、実情を申し上げれば、意見調整を行いゴールを設定して皆さんを導くための考える仕事と資料作成やプログラム実装などの手作業で成り立っており、ショートカットして進められる部分が極めて少ない。手戻りも発生しやすいです。
システム導入・開発の仕事はオーダーメイドでありながらも、外部の意見が好き勝手に入りやすい環境にあります。難しいオーダーメイドをキチンとこなすには、人材のスキルが整備され、導入までのフローがしっかりと確立されている必要があります。機械化されていない仕事なので、職人技の連携プレーが必要。なので、「勝ちパターン」を持たないと回せないのです。
請ける業者の立場にたてば、「要望だけ聞くと難しくなさそうだけど、ちゃんと詰めていったらあれもこれもとたくさん出てきた。でも先に料金を決めてしまったのでどうにもならない」が最も困ります。工務店でも同じことがあると聞きました。
仕事のできる業者は、そのようなヤバい香りを瞬時に嗅ぎつけます。かといって、無碍に断るのも角が立つので、通常よりもかなり高額な見積もりを出して「この金額なら二転三転してもコストを回収できるだろう」という戦略を取ります。その案件が取れなくても、良い条件で請けられる仕事があるので、そっちに行くだけです。
本質的に、システムを作るという行いは不透明なものが多い領域であり、発注者(クライアント)がその本質に迫りながら、共に考えて頂き、一緒に意思決定を下す姿勢が何よりも大切です。その姿勢を見せてくれる会社さんなら、
私どもが業者の立場で発信することで、良い意味で「そういうリスクを張ってくれているんだね」という相互理解が進み、良いシステム導入が達成されることを願っています。