最近、「エンジニアになりたい」という若い人が増えているようです。ソフトウェアのビジネスで成功した若い起業家・エンジニアがメディアで露出されるようになったり、エンジニアは比較的働き方が自由で、高年収な職業だからでしょう。

私は2003年にこの業界に足を踏み入れましたが、2003年当時の世論では「IT業界は3K当たり前、なんなら7Kだ」と言われていたんです。「きつい」「帰れない」「給料が安い」「規則が厳しい」「休暇がとれない」「化粧がのらない」「結婚できない」で7Kらしく、当時の新卒就活戦線では、BIG5(IBM/NTT/NEC/富士通/日立)以外は全部負け組ぐらいに言われていたような気がします。

そのため「お金を払ってプログラミングを学習するスクールに入り、エンジニアになるための教育ビジネスが立ち上がっている」という現状を見ると、隔世の感があります。プログラミング・スクールがビジネスになる時代。良い時代になったと思います。

私個人は、ITエンジニアという仕事を選んで正解でした。

一般の方から見ると本当に見えにくい職業である「エンジニア」特にソフトウェアエンジニアの光と闇について、書いていきたいと思います。

まず、この仕事をやっていて楽しいな・よかったなという光の部分です。

最も良いと感じるのは「努力が待遇や報酬として報われやすい」点です。自分のスキル次第で高待遇なポジションに付いたり、独立してやりたい仕事をできたりと、自己研鑽によって切り開ける道が色々あるので、苦労が報われやすいです。ソフトウェアには色んな可能性があります。

また、自分が作ったサービスを使ってくれるユーザーが目の前にいて、色んな声を聞きながらサービスを作り上げて運営できる気持ちよさがあります。運営は大変ですけど、やりがいがあります。

私は自分で作りたいサービスを作って運用し、一つ一つの案件に刺激が有り、飽きることはないです。

闇の部分に触れていきましょう。一言でいうと「ハイ・プレッシャー」です。

第1に、エンジニアの仕事は適性のある・なしがハッキリと出ます。適性のない人はプログラミングを仕事にしないほうが良いかもしれません。楽しめないからです。

プログラミングの適性とは何か。「自分の頭で理屈を組み立てることが苦痛にならない、訓練を積んでいける」ことです。ON/OFFをハッキリ切り分けたい人には向いてないでしょう。夢の中でデバッグ(プログラムの実行結果の不具合を直すこと)していたことがあります。実際にはぜんぜん違うコードだったんですけど、土鍋にこびりついたおこげのように、頭に残るものなです。

プログラミングの学習において最初の壁は「動かすことができない」です。本を買ってその通りやっているはずなのに、動かない。出てくるのは英語の謎のメッセージで、解決したことがないから何が問題なのかもわからない。そこからスタートします。

プログラミングの学習過程は、地味の極み。エラーメッセージを読み、原因について分析して仮説を立て、検証をして正解を導き出す姿勢をひたすら繰り返して、スキルが身につきます。一人前になるのは、だいだい3年はかかります。

仕事でプログラムを書くようになると、他人の書いたプログラムを読み解く必要が出てきます。「読み解く」のは時間とエネルギーが必要です。ここに疲れる人は多い。コードから逃げられないんです。

というわけで、第2のネガは、エンジニアは逃げ場のない仕事です。書いたプログラムを責任を誰のせいにもできない。

プログラムを書く仕事をしていると、エラーが出たり想定した動きをしないのに直し方がわからない、というのを誰もが経験します。原因はわかるけど理由がわからない状態が延々と続くことがあり、その結果鬱々として、自分には向いてないのでは… とNo Futureモードになります。内省を重ねて正解を導いていくものなので、心を病みやすい傾向にあります。

この仕事はクッソ地味で、自分の考えや発想をその都度見つめ直す内省的な思考が強いので、マインドの切り替えが特に重要です。おすすめは散歩。歩くだけでも気持ち変わります。

自分の中でうまく気持ちを切り替えて、一歩ずつ進めていけるようになれば、楽しい仕事です。

私はこの仕事を選んで良かったと思うので、常にエンジニアになりたい、教えて欲しい人が身の回りにいたら、教えるようにしています。富士山の五合目までは、ショートカットでいい。成功体験が先だから。5合目からは、自分で歩こう!